COLUMN

「ダフニスとクロエ」より Photo:Agathe Poupeney/OnP

2017.2.28.TUE | COLUMN

上演演目はココが見どころ!

上演される2演目も魅力的。『ラ・シルフィード』は19世紀前半にパリ・オペラ座で初演された作品で、現在一般的に見られるバレエのなかでは最も古い時代のものといえます。大きな特徴のひとつは女性ダンサーの衣裳。例えば『白鳥の湖』のようなピンと張った短いチュチュ(クラシック・チュチュ)ではなく、丈が長くてふわふわのチュチュ(ロマンティック・チュチュ)を着て踊られます。彼女たちの脚は足首からつま先までしか見えないけれど、その部分が信じがたい速さでステップを刻み、トコトコトコトコトコ……と滑るように舞台を横切っていく様は驚異的! シルフィードとは空気の精。まさに妖精そのものの柔らかさでなびく腕や、体重をまったく感じさせない踊りにぜひ注目を。

もうひとつの「グラン・ガラ」はオペラ座の“いま”を体感できる豪華三本立て。『テーマとヴァリエーション』は20世紀の巨匠ジョージ・バランシンがチャイコフスキーの音楽を用いて振付けた作品です。帝政時代のロシア・バレエへのオマージュとして創作された一幕物で、凛としたクラシック・チュチュをまとったダンサーたちの煌めくような踊りがこれでもかと押し寄せます

『ダフニスとクロエ』はオペラ座バレエの前芸術監督バンジャマン・ミルピエがラヴェルの音楽に振付けた意欲作で、今回が日本初演。「物語のすべては音楽の内にある」と語るミルピエは、古代ギリシャの恋物語をなぞるというより、むしろ抽象的で現代的に仕立てているそう。この作品には芸術監督のオーレリが出演することも話題を呼んでいます。

『アザー・ダンス』の振付家ジェローム・ロビンスは、『ウェストサイド物語』等のミュージカルの振付でも有名。男女ふたりのダンサーが、舞台上でショパンを弾くピアニストとの掛け合いを楽しむように踊ります。あたかも即興で踊っているかのように見せるのが、ダンサーの力量の問われるところ。高難度のジャンプすら、音楽の心地よさに思わず体が舞い上がった……と言わんばかりの自然さでサラリ。心憎いほどお洒落で素敵な作品です。

Profile
阿部さや子(有)オン・ポワント 企画・制作部 部長
大分県佐伯市生まれ、臼杵市育ち。
九州大学文学部卒業、大分大学大学院教育学研究科修士課程修了。
APU立命館アジア太平洋大学職員等を経て、2004年、バレエ関連書籍や専門誌をメインに刊行する株式会社新書館に入社。「クララ」「クロワゼ」編集部に配属。
2009年「クララ」「クロワゼ」編集長就任、以後「ダンシン」編集長、「ダンスマガジン」編集長兼務を経て、2015年秋より新書館の起ち上げた新会社「オン・ポワント」企画・制作部 部長に就任。
現在はバレエ雑誌やバレエ公演プログラム等に執筆・寄稿する他、バレエ・ダンス関連イベントのプロデュース、DVD(「パリ・オペラ座エトワールに教わるヴァリエーション・レッスン」等)・CD(「Dramatic Music for Ballet Class」等)・書籍(コミック『SHOKO~中村祥子、世界へのグラン・ジュテ』等)の企画・制作、バレエ漫画(『ダンス・ダンス・ダンスール』小学館ビッグコミックスピリッツ)等の監修などを手がけている。また、大学やカルチャーセンター等で、バレエやダンス、ミュージカル関連のゲスト講師等を務めている。

パリ・オペラ座バレエ「ジェローム・ロビンズに捧ぐ」

「ウエスト・サイド・ストーリー」「王様と私」などの映画作品の振付や、ニューヨーク・シティ・バレエでの「牧神の午後」など数々のバレエ名作をのこした、ジェローム・ロビンズ。彼の功績を讃え没後10 周年にパリで行われた記念公演「ジェローム・ロビンズに捧ぐ」、パリ・オペラ座バレエのダンサーが出演の豪華舞台です。ロビンズの3 作品ほか、ロビンズの愛弟子で、映画「ブラック・スワン」の振付を手掛け主演のナタリー・ポートマンと結婚したことでも話題となったバンジャマン・ミルピエの注目新作も収録しています。

DVD 4,270円+税 カラー 111分 2008年 英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語(日本語字幕はありません)

FAIRY
http://www.nbs.or.jp/
Pony Canyon
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